改正道路運送車両法により従来の分解整備は特定整備に変わり、いよいよ特定整備制度がスタートしました。
設備に関する認証基準では、

  1. 既存の分解整備に該当する作業のみを行う場合
  2. 電子制御装置のみ行う場合
  3. 既存の分解整備に該当する作業と電子制御装置整備の両方を行う場合

と、3つの認証パターンから選択することが可能となっており、電子制御装置の整備を行う場合は新たに同整備の認証を受けることが必要となりました。

電子制御装置整備のみの認証基準では電子制御装置整備作業場の床面が平滑で車両の整備完了車や整備待ちのための車両置き場(路駐放置防止)が必要となっています。
国土交通省で定める認証を受ける事業場では、現在使用している作業場や検査ラインを活用できますし、すべての車種に対応する作業場を備えるのが必要というわけではなく、整備要領書に則ってエーミング作業を行うことができれば、限られたスペースであっても可能なのです。

整備用スキャンツールは、整備に必要な機能として故障コードの読み取り、消去、機能調整などが行えてセンシングシステムに対応する前方監視用カメラ、レーダーなどに対応する機能が必要とされます。
スキャンツールの設置は義務化されるものの、先進技術に関する情報がすべて提供されているわけではありません。また、各メーカーや車種に幅広く対応する汎用スキャンツール等も完璧なものはありません。

国交省では、OBD車検で使用する法定スキャンツールもディーラーの専用スキャンツールと同じくエーミング作業ができるように汎用スキャンツールの機能を充実させる取り込みを進めています。

エーミング作業をする際には、自動車メーカーの整備要領書では水平状態での作業となっています。ですが実際にはすべての整備工場の水平レベルがでているわけではないでしょう。水準器を用いて疑似的に水平状態を再現し、エーミング作業を行うことになると思われます。

資料:『土交通交通省自動車局』

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自動運行装置の脱着やそれに影響を及ぼす恐れがある整備では、「自動運行装置を装備した自動車の装置の点検」、「整備に必要な技術情報を入手すること」と明記されています。つまり自動車メーカーから必要な技術情報を受けることができなければ自動運行装置の整備を行えないのです。

整備では電子制御装置整備の認証を取得するかの迷いがあると思われますが、仮に特定整備を行った車両が事故を引き起こした場合の責任の所在や保証問題にも関わってきます。
カーメーカーの指示通りに作業を実施したことを証明するエビデンス(記録の証拠)を保管することも必要です。このようにこれから既存の分解整備とは異なる電子制御装置整備を行うには不安がつきまとうことになります。整備事業者は、自動車の構造が変われば、それに合わせての整備も対応しなくてはなりません。

経過措置期間中であっても、認証取得のみにとどまることなく、将来に向けて電子制御装置整備の整備士資格の見直しも必要となるでしょう。次世代整備で競争力を高めると同時に、事業展開の方向性を検討するなど、変化への準備をしておくことは必至といえます。