人口減少が続く日本では、クルマの保有台数や新車販売も減少に向かっており、商いをする上で大きな痛手となっています。目覚ましく高度化する次世代車の技術革新、車両の先進運転支援システムの普及に対する通信ネットワークや設備投資、技術情報、整備ノウハウを持った人材の育成など、複雑な課題が同時進行で進んでいるので、クルマに携わる事業者にとって、模索する毎日ではないでしょうか?

そんな中、ある経営者の言葉が心に響きました。この経営者は、診断に徹底したこだわりを持っておられる方で、「クルマとは人の命を預かるもの。ユーザー様に安心と安全を提供するために、『ひと手間をおしまない診断』を心がけている。それはモノゴトの実情を調べて、その適性や欠陥の有無などを判断することです」…なんと素晴らしい姿勢をお持ちなのだろうと感銘を受けました。使命感を持ってクルマに携わる事業者としての社会的責任を果たす。そのために卓越したスキルを身に付けることが必要だということですね。

そのためには人材の育成が欠かせません。ただし、人の成長や育成には時間も労力もかかります。たとえ、成長に時間がかかったとしても、幾度となく繰り返すことで理解度を上げながら伝えていくことが肝要です。

弊社が開催している勉強会でも、数多くの整備士が様々なシステムトレーニングを受講されていますが、何度も繰り返して学習することが大切だと痛感しています。

また、整備の現場においてはユーザー様とのファーストコンタクト、すなわち、整備受け入れ時の問診が極めて重要です。例えば、病院でも治療を受ける前に医者が問診を行います。型通りの問診で済ませるのか、それとも患者に寄り添って丁寧な問診をするのかで、治療方針は大きく違ってくることでしょう。それは自動車整備においても同じです。専門用語を極力使わず、ユーザー様と丁寧に対話できれば、故障の原因を突き止めるヒントが見つかる可能性は大きいといえます。そうした場面では、ユーザー様とのコミュニケーションスキルが求められます。

クルマを相手にするにしても、人を相手にするにしても、目的にあったトレーニングを積み重ねることが必要ですよね。

(西山)