今秋から始まるOBD検査。準備はお済みでしょうか?

2020年4月に施行された特定整備制度の認証取得の準備期間に当たる経過措置が24年3月末で終了します。そして24年10月には、車検でOBD(車載式故障診断装置)の検査が始まり、この電子制御装置整備を事業とすることを前提とした経過措置となるので、認証もないまま事業を継続した場合は未認証行為として処罰の対象となります。

当面は環境構築を考慮した経過期間が4年間設けられ、1級整備士が在籍している事業所を中心に特定整備の認証を取得。今後の認証工場として事業を継承するには、この特定整備の認証取得は必須です。しかし、経過措置期間中の現状でも特定整備制度自体の理解が浸透していないようです。
整備事業者の間では、”この制度がよく分からない”との声もあり、取得には半数強に留まっています。
そうなると、経過措置の終了間際に申請が殺到するかもしれません。そのことは運転支援機能や自動運転機能に関する電子装置の故障や不具合に繋がる可能性もあります。

電子化した自動車の点検や整備を担う事業者は、これまでと比較して高度かつ広範な知識と技術が必要であり、今後の大きな責務にかかわります。
以前、「ThankYou Vo.46Vo.47Vo.48」で、自動車の特定整備の方向性について連載しましたが、2024年10月からの対応には待ったなしの状態です。

特定整備制度は、分解整備の範囲から影響を及ぼす整備、改造(電子制御装置整備)に拡大するとともに、対象装置に自動運行装置が追加されています。この特定整備では従来の整備工場以外にも電子制御装置整備の対象車両に対してミリ波レーダーや超音波センサー、ガラス交換を伴う整備業でも認証の取得が必要となっています。これはあくまでもスタートラインであり、電子制御装置整備機器を揃える必要があります。

電子制御装置整備への対応や、地域の連携はOBD検査とも連動しており、整備事業者によっては近隣地域での連携も考えられますが、他の整備事業者やディーラーへお任せと、従来にない先進運転支援システムの検査が必須のため、整備対象車両の増加が見込まれます。一方、認証を任せるのではなく、自社で習得し、車両の安心、安全を担い、顧客に対応することがビジネスチャンスになるかもしれません。

1)電子制御装置点検整備作業場を有しないB整備工場がA整備工場の作業場を共有
2)電子制御装置点検整備作業場を有するA整備工場、B整備工場がそれぞれの作業場を共有
3)電子制御装置点検整備作業場を有しないb事務所がA整備工場の作業場を共有

2024年9月までに、「検査用スキャンツールの提出」が必要となり、同年10月よりOBD検査が導入され検査用スキャンツールの活用で検査を行います。検査機器のスキャンツールを各運輸局へ届ける必要もあります。標準に適合した整備用スキャンツールリストの情報特定整備記録簿の記載方法などは、「一般社団法人日本自動車機械器具工業会HP」に掲載されていますので、ご参考にしてください。

(西山)