車体の軽量化に伴い、樹脂素材の部品が多くの車両で採用されています。ただしやっかいなのがその修理です。例えばヘッドライトを固定している爪が折れた場合、交換するしかありませんでした。またバンパーの経年劣化によるひび割れも同様です。

損害保険会社などが修理を推奨する一方で、部品交換に伴い廃棄されるケースが多いのが実情です。昨今のSDGs的な観点からみても、ASSY交換ではなく修理のほうが環境負荷を軽減できます。そうなれば、修理のほうが価値があり、適正な工賃で十分な利益を確保することもできます。

今回紹介する窒素シールドプラスチック溶接機は、そのような樹脂部品の溶接を可能にする溶接機です。提供しているのは米国ポリバンス(Polyvance)社。2006年にアメリカ車体修理業界で窒素シールドプラスチック溶接機を最初に商品化し、それ以来窒素シールドプラスチック溶接の技術開発を主導してきているメーカーです。
機器を用いての樹脂溶接の技術指導に加え、技術講習のテキストなどのサポート展開も行っています。

溶接の様子。ポリバンス社は、溶接ロッドとして、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネイトなど22種の素材を提供しています。

既存の方法では利益の確保が難しく、また技術の高度化で部品価格も上昇しており、事業者が利益確保することが大変な状況です。ユーザーの負担軽減にもなり、作業工賃を確保できる修理には今後、収益を高める活路がありそうです。

資料提供:ポリバンス日本総代理店 ㈲ティークラフトポリバンス事業部

取材協力:遠藤自動車工業株式会社