自動車業界では変革期を迎えるなか、その引き金となっているのが2016年に発表されたCASE(Connected Autonomous Shared Service Electric / コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)と呼ばれる次世代車の技術革新です。
CASEの実現により、インターネット・ネットワークを活用した高度な自動走行制御やソフトウェアのアップデートが可能となり利便性が一気に向上します。しかしそれと同時にサイバー攻撃等の脅威にさらされるリスクもあります。
そのようなリスクを回避するために国連法規が定められ、それにより自動車OEMやサプライヤーに対して、開発、生産、販売におけるサイバーセキュリティおよびソフトウェアのアップデートの適切さを担保する業務システムが求められています。
CASEでは、自動車の技術改革により車両の電子化が進むと同時に、サイバー攻撃の被害を防ぐことを目的として、2022年7月以降の新型車はサイバーセキュリティ対策を講じることが必須となり、それによって診断機能へのアクセス制限が始まっています。
このような流れは、2022年以降の国内法執行によってさらに加速することが見込まれています。
このサイバーセキュリティ対策により、自動車整備で必要となる診断機能にアクセス制限がかかることで、ADAS先進運転支援システムのキャリブレーション作業や、オイル交換などのインターバルリセットすら出来なくなり、整備での支障をきたすことになります。
2020年6月(WP29)『自動車基準調和世界フォーラム』によって、サイバーセキュリティ及びソフトウェアアップデートの国際基準が可決されました。その国際基準によってアクセスが制限される車両の診断が可能でなくてはなりません。各自動車メーカーのセキュリティアクセス権を取得しセキュリティで保護された車両の診断可能となれば、これによる将来の整備ビジネスにおいて効率的で本来の正確な車両整備が可能となります。
車両のサイバーセキュリティ対策は、自動車メーカーごとに異なるため、それぞれの車両アクセス権により自動車メーカーごとに登録、個別の対応が必要となり契約や支払い条件など投資が必要となります。
今後、各自動車メーカーと継続的に使用可能なツールの提供が必要不可欠です。これらのシステムを各自動車メーカーとの単体で契約するのではなく独立系の整備修理業者に対してセキュリティアクセス権を必要に応じて行使できれば車の故障診断作業も整備工場での作業が可能となります。
また、オンラインでシステム・データにアクセスするためには、Wi-Fiなどのインターネット環境整備も欠かせません。そうした環境がまだ未整備であれば、今後考慮しなければなりません。
(西山)