ADASについて自動車アフターマーケットでの関心は非常に高いのですが、残念なことにこれらについての知識や情報が少なく、現状は非常に複雑です。
エーミング調整に関する実際の規定はありませんが、今後の責任問題が発生するためマルチブランドの機器を使用したエーミング調整は自動車メーカーの機器で行われたものと同等であるか、エーミング調整が確実に実行され自動車メーカーのサービスマニュアルで定義した要件に合った作業ができるかが大変重要になります。
これらの問題を解決するためには、各システムを理解することと、最新機器を活用することであり、最終的にはADAS校正作業(エーミング)を早く正確に簡単にすることが肝要です。

日本の整備業界では、カーメーカーの整備方法に準じるしかなく、最新の車両システムについての整備機器開発が理解されずに、作業を行う整備工場メカニックまで伝達されないのが現状です。このためトレーニングを通じてADASのすべての技術を理解していただく事が重要であるとも考えられます。

今回は、ADASの各システムの概要と動向、そしてMAHLE(マーレ社)デジタルADAS機器とエーミング作業について説明します。

システムの概要

ADASとは「Advanced driver-assistance systems」の略称で、先進運転支援システムのことです。日常的に運転をサポートし、道路の安全性を高めるために考えられたシステムであり、現在の交通事故の主な原因であるヒューマンエラーに対処するように設計され、すべての事故に自動的に対応するように開発されています。
このシステムは、カメラ、レーダーなど車両に設置されたセンサーからの信号を読み取り、複雑なアルゴリズムを通じて、この情報を警告信号または運転者に警告する情報に変換します。さらに、運転者が適切に対応しない場合に車両を停止することさえできます。

今後の動向

欧州では2024年(2022年から新しく登録された車両)以降の全ての車両に、緊急ブレーキシステム、インテリジェントスピードアダプテーション、アクティブレーンアシスタンスなどの一連のADAS安全装置を装備することが規定されています。眠気やよそ見をした際にドライバーに警告する警報装置や、安全確保のためのカメラやセンサーのほか、クラッシュデータレコーダー(ブラックボックス)、改善された安全ベルトなどがあります。

ECUに関して、一部のメーカーは、次の2つの理由で交換の場合にオンラインでの再プログラミングを必要とします。
1)記録により不良率と交換履歴を追跡する
2)ECUのファームウェアバージョンが製造ラインの最後のバージョンと一致していることを確認する
またセキュリティ関連については、現在のところFCA(Fiat Chryslerオートモービル)、Mercedes Benz、Renault、Audi/VWがそれぞれの方法で機能するようにしており、正しい情報のもとで整備作業を行うことが推奨されています。

資料提供:Seiken e-Garageトレーニングセンター