メルセデスは数年前に電動化を前提に設計したM256直6次世代エンジンを開発、電力で駆動補助を行うマイルドハイブリッドの核となるスターターと発電機を一体化(ISG)にし、過給機、補器類など電動化ユニットにしました。電動化技術に加え内燃機関の技術革新も当面のクルマの進化に欠かせないことを示したと言えます。
48Vの電装システムを採用したこのシステムは、ブースト回生システム(BRS)の採用でブレーキ時に生じる制動エネルギーを48Vバッテリーに蓄え、アクセルを踏んだ時にそのエネルギーを引き出します。このために燃費性能の向上とCO2排出量を低減できるシステムとなっています。
自動車業界の目標でもあり課題となっているのは、2030年度に燃費基準に基づく燃料規制を実施(さらに厳しくなると推定)することと、2035年に販売できる新車を「排ガスゼロ車にすること。」その2つです。
BOSCHでは、世界中の自動車メーカーの需要に合わせて実用化に近いテクノロジーを公表、48Vの電源システムを使ったストロングハイブリッド車化(HEV)と電気自動車化(EV)の2つのアプローチを提案しています。
今後、クルマの燃費基準がさらに厳しくなると、EV台数が増えるかもしれません。しかし、電動化によるコスト増で車両価格が上昇し、さらに充電インフラ整備に多大な設備が必要なことが課題です。
BOSCHが採用しているリチウムイオンセルはサイズをコンパクトに抑え、CO2排出量の低減を実現でき、EV化へ移行していくにしても、48Vのソリューションはサイズ、コスト、性能から見ても高い需要が見込めます。
48V電源システムを使う利点としては、高電圧の電源システムと違って感電防止対策が不要であり、簡易ハイブリッド車(MHEV)と同じ直流・直流(DC-DC)変換機が使えることです。
このバッテリーのコンセプトは、クルマのCO2排出量を低減することと、コストを低く抑えることです。
この48Vバッテリーは強制冷却を必要としないため、ハウジング素材には金属でなくプラスチックが採用されています。また、リチウムイオンセルはバッテリー充電中、またユニットを使用していくにつれて膨張していくほか、ハウジング自体にも強度が必要です。そのため、BOSCHエンジニア陣は、48Vバッテリーのセルを見直し、プラスチック製のハウジングでも圧力に耐えるように開発しました。
今後、日本でも48V MHEVが出てくると思われます。新しいバッテリーによる48Vハイブリッドシステムの市場においては欧州や日本でも大きな役割を果たしマーケットの活性化につながっていくのではないでしょうか。このように私たちに起こっている世の中の「流れ」を意識していきたいと思います。
資料提供:ボッシュ㈱