直噴エンジンで多発しているエンジン不調とエラーコード…『30EA NOx吸着式触媒コンバーター硫黄酸化物濃度が範囲外』という問題です。

直噴ということ以外にも様々な要因があるとは思いますが、このエラーコードの最たる要因となっているのが「希薄燃焼システム」です。希薄燃焼とは、理論空燃比よりも燃料割合を低く抑えた混合気で燃焼させることで「リーンバーン」とも呼ばれ、その効果は燃費効率を上げることへと繋がり、地球規模での温暖化対策に貢献する技術です。

LIQUIMOLY(リクィモリ)には、各種高性能オイルやエンジン内部の添加剤など豊富な品揃えがありますが、今回はその中から燃料添加剤とスロットルバルブクリーナーを活用してみました。


診断機が指示するエラーへの対処法としては「時速110kmで30分走行してください」とありますので、上記2点を施行後、高速走行を行いました。
通常の走行時に比べ、高速走行では排気ガス温度が倍以上まで上がり、カーボン等の堆積物が焼け飛びます。データモニターで通常走行時と高速走行時の排ガス温度を計測します。通常走行時の排気ガス温度は275℃ですが、高速道路をしばらく走行すると排気ガス温度は700℃まで上がりました。


触媒の理想的な効率条件とされる「400~800℃」を保持するわけですが、800℃を超えると触媒本体の劣化が促進され、1,000℃を超えると劣化促進が急激に激しくなりますので、触媒を走行加熱させる際はデータモニターしながら600~700℃を保持するのが理想だと思います。

前回お勧めした『BOSCH自動車ハンドブック』には排気装置のみならず、そのシステムの理想温度などの情報も詳しく記載されておりますので、それを参考にしながらの作業となりました。
結果、エンジンレスポンスが非常に良くなり、フィーリングや燃費にも施工の成果が現れ、エラーコードも「現在エラー」だったのが「過去エラー」へと変わりました。詰まりによる触媒交換となると大変高額ですので、予防メンテナンスとしてお客様に提案できるメニューであると実感しました。

同じ内容での故障事例でも、クルマの個体差や経年劣化により、作業内容やトラブルシューティングにも違いがあります。健康な状態のクルマを維持していくためにも、日頃のユーザー様とのコミュニケーションを密に取ることが重要であり、車両管理データを元にメンテナンスを提案していくことが大切だと思います。

取材協力:㈱フリーク様