近年では、自動ブレーキ(AEB)、レーンキープアシスト(LKA)、アクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、横滑り防止装置(ESC)などの運転支援技術が数多く実用化されています。政府は2020年を目途に、システムが運転の主体となるレベル3以上の自動運転の実用化を目標に掲げ、その実現に向けた技術開発や制度整備を進めています。運転支援装置や自動運転装置には、前方を監視するレーダーやカメラなどの各センサーやECUが搭載されていますが、それらに故障や不具合などがあれば、即座に事故やトラブルを引き起こします。安全性の確保や影響を受ける整備作業には、保安基準適合性を法的に行い国の認証が必要となります。次世代整備の対応は待ったなしの状況です。
政府は、従来の「分解整備」の範囲を、取り外しを伴わなくとも装置の作動に影響を及ぼす整備または改造等に拡大するとともに、対象装置として、自動運転レベル3以上の自動運転を行う自動車に搭載される「自動運行装置」を追加し、その名称を「特定整備」に改め、新たな認証資格『電子制御装置整備』の導入を組み込んだ法改正を行いました。
この特定整備制度の方向性としては自動運行装置の取り外しや作業に影響を及ぼす整備、または自動ブレーキなどの運転支援装置のエーミング、キャリブレーションを含めて規定されました。
国土交通省の自動車整備技術の高度化検討会の中間とりまとめによれば、経過措置として認証を受けるための準備期間を4年間と規定しています。2020年4月の改正道路運輸車両法の施行と同時に2024年4月までの経過措置が始まります。経過措置は認証を受けるための準備期間で新たな認証資格『電子制御装置整備』の取得が可能になり、法施行と同時に認証が取得できるよう資格の為の講習を始める計画のようです。
国交省が定める講習を受けた電装整備士、車体整備士も整備主任者の資格要件とし、より多くの整備事業者が電子制御装置整備認証を取得できる枠組みを整えました。
当初の予定にあったホイールアライメントやボディ計測機や電子制御装置整備を認証基準に入れることは見送られたのですが、今後の認証取得には設備や人的要件を満たす必要性があり投資を伴う可能性もあります。法施行前にエーミングを実施していなくても、Fバンパーやグリルの脱着をしたことのある事業者はエーミングも含めた作業が経過措置として認められます。このエーミングを適正に実施するためにも次世代に対する技術や知識、スキルを習得することが非常に重要です。
4年の期間ですが、まだ4年間もあるから大丈夫!と様子見もあるのでしょうが、特定整備導入が決まった2019年、そして法が施行される2020年、OBD車検開始2024年(輸入車は2025年)と今後の事業活動に大きな差が出てくるのは間違いないと思われます。しかし今後の展開での特定整備はビジネスチャンスとなるのかもしれません。
※ADASに関する詳細はThankyou新聞の№42・№43に記載しています。