今、自動車業界は100年に1度の大変革期といわれ、それによって産業構造全体に今だかつてない規模の変化が起きると予想されています。

今年5月、自動運転車に安全性確保を柱とする改正道路運送車両法が参院本会議で可決、成立しました。2020年に実用化を目指し、自動運転車の安全基準に関する法整備が今後整っていきます。自動車整備においては、分解整備の範囲を先進安全技術『特定整備』に改めます。

その様な中、自動車の保有台数は徐々に増加傾向に推移していますが、自動車整備業界の売り上げをみると、右肩下がりの傾向です。自動車整備業の売上は減る一方、車両の台数と認証工場は増えています。しかし自動車整備の専門学校への進学率は低迷しています。整備士を目指す若手の減少、現整備士の高齢化、工場後継者問題など、いずれも予断を許さない状況です。ユーザー自体も減少傾向にあり、他にもHV/EV自動車の普及、安全支援システムに関する新技術の影響もあり、自動車整備の新たな技術の導入や、データ収集などに対応できる人材育成が追いついていない状況です。

自動車整備業において勝ち組になるためにも、整備以外に目を向けて新たな展開をする必要があるでしょう。前回、テュフ認証制度を紹介しましたが、コンプライアンス(法令遵守)やCSR(企業の社会的責任)が重要視されています。損保会社と連携し、責任の所在を証明することにより、更なるビジネスチャンスが生まれるかもしれません。

整備業界は縮小傾向にあるので、将来への投資も容易ではないでしょうが、以前から案内しております厚生労働省での時間外労働改善、働き方改革の助成金制度の取り組みで支援を受けるという手段もありますし、あるいは、自社の利益を手元の資金としてプールしておいていざという時に活用できるように準備しておくという手段も大切です。

状況をしっかりと把握し、将来像を見据え、状況に適した投資を行うという姿勢が望まれます。