自動車の基本性能である「走る・曲がる・止まる」に加え、現代の乗用車では静粛性や快適性がより重要視されるようになっています。この快適性を評価・改善する指標として、近年注目されているのがNVH (Noise,Vibration,Harshness) 解析です。

NVH解析は、自動車が発するさまざまな音や振動、衝撃音などを数値化・解析し、不快要素を改善するために導入された仕組みで、今や自動車業界の重要な評価基準のひとつとなっています。

NVHの要素は以下の3つに分類されます。

  • N (ノイズ) :振動する物体から発生する不快音
  • V (バイブレーション) :上下・前後など不快な振動
  • H (ハーシュネス) :走行時に感じる不快な衝撃音や振動

こうした音や振動を感覚的ではなく、データとして可視化することで、問題箇所を正確に特定し、適切な整備メニューを提案できます。これは、整備士にとって「勘」や「経験」だけに頼らずに診断の確信を得られるだけでなく、顧客への説得力を高め、差別化れたサービス提供につながります。

従来のスキャンツールは故障コードの読み取りやデータ監視に優れていますが、断続的な障害やイベントを見逃すことがありました。
そこで役立つのがオシロスコープです。波形分析や電圧降下の診断を行うことで、電装系の不具合を正確に把握し、故障探求時間の短縮が可能になります。また、振動解析装置やスマホアプリによる簡易診断も登場しており、発生音源の視覚化が容易にできるようになってきました。これらの技術は、今後の整備業における重要なトレンドになると考えられます。

さらに、NVH解析を活用することで、お客様に対してデータやグラフを用いた分かりやすい説明ができるため、信頼性が増し、サービス単価の適正化や付加価値の向上にもつながります。EVやハイブリッド車など静粛性の高い車種が増えるにつれ、わずかな異音・振動への顧客の感度はさらに高くなります。このような時代に、NVH解析を習得・導入している整備会社は、他社にはない強みを築ける可能性があります。整備業の新しい価値創造への第一歩といえるでしょう。

NVH解析を解説した動画。(冒頭のYoutube写真) 字幕の自動翻訳で日本語選択あります。

(西山)