近年、自動車の診断技術は大きな転換期を迎えています。特に注目されるのが、DoIP (Diagnostic over Internet Protocol) という次世代通信規格と、BOSCHが提供するSDA (Secure Diagnostic Access) と呼ばれるセイキュリティ技術です。これらは、整備現場における車両診断の在り方を根本から変えつつあります。
DoIPは、イーサネットを用いた車両診断用の通信方式で、従来の通信方式と比べて約100倍もの高速データ転送が可能です。車両の電子化が進むにつれ、必要とされる診断データの量や処理速度は飛躍的に増加しており、多くの自動車メーカーが車両の診断にイーサネットを利用しはじめています。
SDAは、車両の電子システムをハッキングなどのサイバー攻撃から守るために開発された機能で、診断機器のアクセスを制限する役割を果たします。つまり今後の診断では、セキュリティ保護された領域にアクセスするために、認証や契約を通じた権限取得が必要になるということです。
各自動車メーカーはそれぞれ独自のセキュリティコンセプトを持っており、対応方法や契約条件も異なります。整備側としては、メーカーごとの条件に応じたライセンス管理や技術対応が求められ、従来の汎用診断機だけでは通用しない場面が増えていくでしょう。
こうした課題を解決する手段として注目されているのが、BOSCHが提供するKTS診断機とESIトロニック診断ソフトウェアです。ESIには、車両のセキュリティ保護領域へのアクセスを可能にするSDA機能が統合されています。SDAは、各メーカー毎に必要な登録・契約などの個別の対応を一括して管理する仕組みを備えており、煩雑な手続きを省略できます。これにより、業務の効率化とコスト削減が同時に実現可能になります。

さらにESIには、診断機能だけでなく、メンテナンス情報、技術サービスの通達情報、既知の故障事例など、整備作業に必要な情報が豊富に含まれています。情報なくしては整備が成り立たない時代において、こうした総合的なサポートは大きな強みとなります。

今後の車両の受け入れには、自社の診断機器がどのメーカー・車種に対応しているかと、どの程度の整備範囲で有効かを把握することが大事になってきます。そして、必要に応じてDoIPやSDAに対応した設備への移行を計画的に進めることが、最新車両への対応力を高めるカギとなるでしょう。
なお、BOSCH側の支援策としてKTS診断機とESIソフトウェアの期間限定貸出(2025.11月現在)も予定しており、実際の作業環境で試用できます。
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
(西山)
